キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
「26歳だっけ? もったいないから、男を見る目は養っといた方がいいな。その、同居してる保護者って男だろ? 対象外なの?」

ジョッキを呷った羽鳥さん。案外このひと、ずけずけ来るなぁ。ちょっと笑いが乾く。
保護者は保護者なので。・・・って切り返そうと思ったら、それまで静かにあたし達の会話を見守ってた吉井さんが薄く笑んで口を挟んだ。

「羽鳥さんダメですよ。今はそういうのって、上司のセクハラ」

「んー? 恋バナって言わないか?」

「事情聴取みたいになってるから、志室さん、怯えてるけど?」

わざと意地悪っぽく言ってから、彼女はあたしに振り向いて、にっこり笑う。
羽鳥さんに引き気味だったのを見抜かれて、助け舟を出されたようだった。

「あー・・・、悪い。睦月がいるから、ちょっと気が抜けたか」

頭を掻きながら、羽鳥さんが済まなそうに。

「ごめん、志室ちゃん。余計なこと言い過ぎたな、俺」

「いえ」

短く言って笑い返せば、その後は前職を訊かれたくらいで、羽鳥さんが吉井さんと同じにバツイチだってこととか、あたしがまだ会ったことがない社長さんの話なんかをしてくれた。
失礼かもしれないけど、思ったより実直で真っ直ぐな人、って印象に変わって。
吉井さんとも、ずいぶん打ち解けてお喋りをした。

誘ってもらって良かった。
お開きになる頃には、心の中が丸くほころんでいた。


< 15 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop