12月の春、白い桜が降る。
真っ赤な金魚柄の描かれた真っ白な浴衣を着ていて、
綺麗な黒髪を結って金色に光る髪飾りをつけていていたその人に、僕は思わず見惚れてしまった。

そしてその瞬間、
「よう!」 とその人が振り向いた。

すごく綺麗だと思っていたその女の人は、なんとひなただったようだ。

改めて、僕はつくづく彼女に魅了されているようだと実感した。

だがどこかひなたでよかった、とほっとしている自分がいる。

彼女がいるのに他の女の人のことを綺麗だと思うのは不純である。

「違う人かと思った」
「…それ、褒め言葉として受け取っとくね」

彼女は少し間を開けて、頬を赤らめながら言っているようだった。
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