やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
でも、私が好きなのは、この人ではない。
岡先輩が持っている暖かい雰囲気を、恋愛から来る感情だと勘違いしたのだ。私が望んでるのは、町田課長のような人。どんどん私に近づいてくれて、ずっと目を離さないで見つめてくれている。
それでいざという時に頼りになる人。課長がいれば、安心できる。彼に寄り添って行けば間違いないのだ。
「やっぱり。どんなに説明しても無駄ですよね。だって課長、完璧な人だから。彼なら、私のようなミスはしない」
「神谷さん、課長を説得するのは簡単ではないと思うけど。でもさあ、課長そんなに融通のきかない人だとは思えないけどなあ」
「先輩、あのときの町田課長の態度、見たじゃないですか」恐ろしい態度だった。
「そうだね。かなり慌ててたね」
岡先輩が人懐っこい笑顔を向けた。
「慌ててた?すごい怖い顔してました。あっ、だから、謝らないでくださいって。先輩のせいじゃないです。気にしないでください」
「僕のせいだ、何かできることがあれば、何でもするよ」
「ありがとうございます。
でも、ほんとにいいんです。私、もう気持ちを切り替えてますから」
町田課長が、私に対する考えを変えて、今までのことを許してくれるとは思えない。
「それより、先輩の方はうまく行ってるんでしょう?」
「ほんとにごめん。自分だけ幸せになって……」結局、付き合ってた彼女とうまくいきそうだと、噂で聞いている。