やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
連れてこられたのは、会社から近いマンションだった。大きな建物でいくつも部屋がある。
「どうぞ、入って」
「食事するんじゃなかったんですか?」
「食べたいものがあれば、届けてもらってもいい。まずは、君をここに連れて来たかった」
案内されたのも、部屋が2つもあって広々としている。リビングルームも立派なものだった。多分、この部屋も家族向けの部屋だ。これから部長として、ここに住むのだ。
「こっちの方が、多くなるんですか?」
私は、さっさと部屋の中に入ってしまう部長の背中に向かって言った。
「どうかな。今のところ、半々かな」
「ここなら、近くてよかったですね」
部長、自分の家どうするのかな。

ここには誰と住むんですか?
聞いたら答えてくれるかな。

越して来たばかりなのだろう。
リビングには、荷ほどきの途中の段ボール箱がいくつも置いてある。
引っ越し作業も進まないだろう。
部長は、今までの仕事を掛け持ちしていて、本社とこっちのオフィスを行ったり来たりしている。

私は、ぐるっと部屋の中を見回す。
「立派な部屋ですね。私もこれから部屋を探そうと思ってるところです
「そう。これから?」
部長が振り返って私を見た。
興味を示したのだ。

「ええ」

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