やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
外は、地面が凍りつくほど冷え込んでいるというのに。
私は、冷たい水でほてった顔を冷やしている。

ほんとに赤い。鏡で自分の顔を見るまでもなく、頬が熱を持っているのがわかる。
嫌だ。思った以上に顔が赤くなってる。
顔の色味が落ち着くと、私は3Fのフロアに行き、依頼主の作田君を探した。
私が、彼を探し当てた時には、作田君は私に向かって手を振っていた。

「悪いね。神谷ちゃん。忙しいのに。
早速なんだけど。俺のパソコン最近調子悪いんだ。見てくれる?」
「うん」
作田君は、私の同期だ。
彼は、とにかく明るい性格で誰とでも仲良くなれる。
まさに営業向きの性格だ。
私は彼からノートパソコンを受け取った。
こっちは、田代君が電話を受けた機械のトラブルらしい。

いろいろ出来ることはやって、手は尽くしてみたが、電源が入らなかった。ランプもつかず、マシンはうんともすんともいわない。
「これ、何度か試してみた?」
私は、作田君に尋ねた。
「うん。すでに何度か試してみたよ」
作田君は、心配そうに私を見つめてる。
「データのバックアップとってある?」私は、一旦抜いてしまったケーブルをもとに戻しながら言う。

「うん。共有のフォルダに。だから仕事で使うのは、大丈夫だけど」
「うん」
「過去の取引データとか、個人ファイルとか。消えたら困るものが結構」
「わかった。救えるものがあるが調べてみるね」
「やっぱり、ダメだったか」いつの間にか作田君が横にいて、画面をのぞき込んでいる。
「うん。パーツ交換が必要だと思う」
「修理に出さなきゃダメ?」
「そうなると思う」
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