やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

んん?
「神谷、お前気が変わったのか?」
「どういう意味です?」
「いや……」
課長は、口に当てていた手で、口元を隠すようにしていた。
課長、考え込むのはもうやめたのか。
その代わりに、下を向いている。
クスッという、笑い声が聞こえた。
空耳?
空耳じゃない。
はっきりと笑い声が聞こえた。
「ええっ?」な、何で笑うのよ。

「課長、もしかして。笑ってませんか?真面目に話てるのに。
笑うなんて、し、失礼じゃないですか!」
「ごめん、悪かった。つい……」
課長は、そういうなりこらえきれなくなって、その場に崩れた。
床に転がるのではないかというほど、体を2つ折りになって笑い出した。

「悪い。もう……だめだ」
彼は、笑いだしたら止まらなくなり、笑いのツボに入ったみたいに大きな声で笑ってしまってる。
な、何が起こったの?
私は、訳がわからず課長の顔を見つめた。

「あの……昼間からって。
お礼を言うことが、それほど……変なことですか?」
私は、意味がわからずおろおろしている。
「変じゃない。変じゃないけど、お礼をわざわざ言いに来られたのは初めてだよ」
課長は、こらえきれなくなってフロア中に聞こえるほど大きな声で笑い出した。
< 54 / 159 >

この作品をシェア

pagetop