旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
津ヶ谷さんとは同じ部署で同じ営業、とはいえお互い外回りが多く、あまり接点はない。
私の教育係は他の先輩だったし、同じオフィスにいたとしても他の女の子と同じようにキャーキャーと騒ぐのは『完璧女子』としていただけない。
……それに、所詮私は元は根暗で地味な女子だ。
皆の憧れの王子相手にあれこれ話しかける勇気もない。
そんなことを考えながらなにげなく、少し離れたところにある津ヶ谷さんのデスクへ目を向けると、不意にこちらを見た彼と目が合う。
しっかりと交わった視線に、つい心臓はドキリと跳ねる。
それを顔に出さないように堪えていると、津ヶ谷さんはにこりと優しく微笑んで視線を外した。
目があった瞬間微笑むなんて……なんてそつのない仕草。
さすが津ヶ谷王子。外面を繕っただけの偽物の私にとっては眩しすぎる。
彼のような、優しくて人望のある本物の王子様なら、きっと恋人もいるのだろう。
王子様に愛される人って、どんな人なんだろう。美人だったり優秀だったり、品があったり、きっとすごい人なのかな。
……いずれにせよ、私のような作り物の女ではないことだけは確かだ。
そう思うと、どこか自分が情けなく思えた。
そんな気持ちを振り払い、今日も仕事に取り掛かる。