旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



「そうだったんですか。まさに美男美女、って感じですね」

「なに言ってるんです。桐島さんだってお綺麗じゃないですかー!」

「ふふ、お世辞でも嬉しいです」



そして主任と会話を終えると、部屋に戻り自分のデスクに着いた。

見つめた手元の資料には、参加メンバーのところに書かれた『乾しのぶ』という名前。



津ヶ谷さんの元カノ、か……。

王子と呼ばれるくらいの人だ、過去に彼女がいたっておかしくない。というか、いて当たり前だ。

だけど、そんな話聞いたことなかったし、私なにも知らないや。



……別に、関係ないけど。

そう思いながらも、胸の中にはもやもやとした気持ちばかりが広がる。





その夜。

帰宅した私は、ほどなくして同じく帰宅した津ヶ谷さんとふたり、向かい合い夕飯をとっていた。

小西さんは今日は早々に帰りふたりきりの居間の中、思わずその顔をじっと見つめてしまう。



津ヶ谷さんが、あんな美人と付き合って……。うん、イメージできてしまう。おまけにお似合いだ。

思い浮かべるたび、胸になにかがチクリと刺さる。

そんな私の視線を感じ取ったのか、津ヶ谷さんは視線をこちらに向けることなく言う。



「なんだよ。おかずならやらないぞ」

「別にいりませんよ!」



おかずがほしくて見てたわけじゃないんですけど。津ヶ谷さんに向けていた目をそらし、おかずを口に運ぶ。

すると、彼は思い出したように言った。


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