旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「そういえば今日主任から聞いたぞ。お前、今度の展示会に大島さんの代わりに出るんだってな」
「あ、はい。そうなんです」
「新規契約確保の大事な展示会なんだから、涼宮のことばっかり考えてミスするなよ」
鼻で笑ってお味噌汁を飲む津ヶ谷さんに、バカにされた気がしてちょっとムッとしてしまう。
「……津ヶ谷さんこそ、元カノのことばっかり考えてミスしないといいですね」
ぼそっと呟いた私の言葉に、彼はお味噌汁をごくんと飲み込んだ。
「お前……誰から聞いた」
「主任からです。たまたま話の流れから、ですよ」
あまり知られたくなかったのか、バツが悪そうな顔でこちらを見る。
「あんな美人とお付き合いされていたなんて、さすが津ヶ谷王子ですねぇ」
「なんだよ、嫌味なんて言って。妬いてるのか?」
「なわけないです!」
なんで妬かなきゃいけないの!
ふん、と顔をそむけ、お茶碗の中身を空にする。
「心配しなくても復縁とかはない」
「わかりませんよ?津ヶ谷さんにその気がなくても乾さんは……」
「ないない。俺、フラれた側だし」
しれっとした様子で言うその言葉に耳を疑う。
「つ、津ヶ谷さんが!?フラれたんですか!?」
「うるさい。でかい声で言うな」
だって、そりゃあ驚いてしまう。
津ヶ谷さんから振って、というイメージがあっても津ヶ谷さんが振られるなんてイメージは湧かなかったから。
目を丸くした私に、津ヶ谷さんも食器を空にして重ねる。