旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



それから二日後の展示会当日。

有明にある大きなホールには、雑貨やインテリア、軽衣料など数十社のメーカーのブースが並び、大勢の人で賑わいをみせていた。



その中の一角、『キャニオンペリー』と書かれた看板を掲げたブースに私や津ヶ谷さんの姿はあった。



「どうぞ、ごらんくださいませ」



通りがかる人へ、にこやかに声をかける。

足を止めてくれる人がいればすかさず商品を勧めて、契約にとりつける。それが今日の私たちの役目だ。



それは津ヶ谷さんも同じで、彼が声をかけるたび、女性たちの「きゃー」という黄色いが聞こえてくる。

相変わらずモテモテだ……。

そんなことを思いながらチラ、と見た先には、同じブースの中インテリアの営業をする乾さんの姿。



ぴったりめのストライプ柄のワンピースを着た彼女は、しっかりとした眉が少し気が強そうだ。けれど大きな口で笑って、愛嬌に変えてしまう。

近くで見てもやっぱり美人だ。

気にしないようにと思ってもやっぱり気になってしまい、つい視線を向けてしまう。



いけないいけない、仕事に集中しないと。

そう気を取り直し、通りがかる人へ声をかける。

するとそんな中、とある男性の声が聞こえた。



「おっ、見ろよ。あそこの白いジャケットの女子」



声がした方向を横目で見ると、そこには隣のブースを見ているのだろうスーツ姿の男性が二名立っていた。

彼らの視線の先にいる、白いジャケットの女子とは私しか当てはまらない。



私?なんだろ。

聞こえていないフリをしながら、つい耳を傾けてしまう。


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