旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「だが、アキノグループに移るこの機会にそろそろ身を固めろと、親から見合い話を持ちかけられてる。会社の利益になるような相手だったり親の知り合いだったり」
「お見合い、ですか」
「このままじゃ強引に見合いさせられて丸め込まれるのが眼に浮かぶ。あの親なら本当にやりかねないし……」
そんな光景を想像したのか、津ヶ谷さんは頬杖をつき窓の外を見ながら「チッ」と舌打ちを打つ。
あの津ヶ谷さんが、舌打ち……。
ああいやだ。嫌な夢でも見ているかのようだ。
「でも、なんで私なんですか?津ヶ谷さんならいくらでも選べるじゃないですか」
「王子なら、な」
それって?
意味を問うように首を傾げる私に目を向けることなく、彼は窓の外を見たまま。
「結局本性を知れば逃げていく、けど結婚して一緒に暮らせば結局バレる。ならいっそ、最初から打ち明けたうえで逃げられない相手とすればいいってわけだ」
……つまりその逃げられない相手という条件に、私がピッタリだったというわけだ。
「この鬼……」
「なんとでも言え。こっちだって人生がかかってるんだよ」
私たちの会話をうかがうように、運転手がルームミラー越しにこちらを見る。
その視線に、私も津ヶ谷さんから顔を背けるように窓の外へ顔を向けた。