旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
ふたりきり、それ以上の会話はできなくて、無言でお弁当を食べるうちに気づけばお昼休みは終わっていた。
私はトイレへ、彼は自販機へ。それぞれ自然にバラバラとなり、私がオフィスに戻った頃には津ヶ谷さんは既にデスクに着き電話をしていた。
こんな私たちが夫婦だということ。つい先ほどまでふたりで話をしていたことなんて、誰も気づくことなどないだろう。
つい視線が津ヶ谷さんのほうを向いてしまうのをこらえて、私はデスクに着き仕事を再開させた。
出来て当たり前だと思われる、人並みの努力じゃ褒められない……か。
確かに、そうかもしれない。
褒めて欲しいわけではないけれど、段々と要求される仕事のレベルや量、許容範囲が拡げられている気はする。
だけど、私にはこんなやり方しか出来ないからしょうがない。
「ふぅ、完成……」
15時をすぎ、ようやく資料は完成した。
少しキツかったけど、でもやりとげた。そんな達成感を感じながら、出来上がった資料の最終確認をする。
さて、これであとは自分の仕事にとりかかれる……。
「あー!!!」
「わっ!?」
そう思った瞬間、突然私の向かいの席に座る女性社員が悲鳴にも近い声をあげた。
突然のことに、室内の全員の視線が彼女へと向けられる。