旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「だから言っただろ。首絞めることになるぞって」
……言って、いた。
だけど、だからってあの場で我関せずといった態度もとれないし、断ることもできなかった。
「……だって、完璧な私のままでいたいんです」
「『いたい』んじゃなくて、『いなきゃいけない』んだろ」
こちらを見ることなく津ヶ谷さんが言う言葉は、胸の奥の本当の自分を剥き出しにさせる。
完璧でいたい、その願いはいつしか『完璧でいなきゃいけない』という脅迫観念に近いものへと変わっていった。
完璧でいなきゃ。隠し通さなくちゃ。
本当の私なんて、受け入れてもらえるわけがないんだから。
そんな私の沈黙は、肯定のようなものだ。
津ヶ谷さんはそれを察するとフッと笑った。
「まぁ、俺も似たような立場だしわからなくもないけど。でも俺は自分の力量は分かってるし、上手いかわし方も知ってる。お前みたいにバカみたいにあれもこれも受け入れたりしない」
うっ……。
反論の余地もない彼の言葉が痛いところにチクチクと刺さる。
すみませんね、自分の力量以上のことばかり引き受けるバカで……。
『これに懲りたら今度からもっと考えて動けよ』と、鼻で笑われるのを想像した、けれど。
「だから、たまには頼ってこい」
津ヶ谷さんはそう言って、私の頭をぽんぽん、と軽く叩いた。
「え……?」
それって、どういう意味?
思わず手を止め彼の顔を見上げる。