旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「まぁ来週には休んでるやつも復帰するし、この忙しさも今だけだ」
「そ、そうですね」
その手はすぐ離れてしまうけれど、触れられた頬が熱く、赤くなるのをさとられないように両手で覆いながら顔を背けた。
そんな私の反応を特に気に留めることなく、津ヶ谷さんは「あ、そうだ」と思い出したように口を開く。
「言い忘れてたけど、今度の日曜って空いてるか?」
「え?はい、空いてますけど」
「ならよかった。うちの両親が挨拶がてら食事でもしようってさ」
りょ、両親?
って、津ヶ谷さんの、ご両親?
「ご、ご両親と!?食事ですか!?」
突然の話に驚き声をあげると、津ヶ谷さんはうるさそうに顔をしかめる。
「別におかしいことじゃないだろ。結婚の挨拶くらい一度はしっかりとしておかないと」
そうだよね、結婚したって話は津ヶ谷さんからはもちろん小西さんからもいってるし……
さすがに一度も挨拶もしないわけにはいかない。
だけど、津ヶ谷さんのご両親……つまりは、大手企業の社長夫婦……。
どんな人なんだろう、厳しそう。気に入られなかったら離婚もありえる。
つまり、挨拶で失敗したらこの話はなくなって、秘密もバラされる!?
一気にいろいろな考えがめぐり、サーッと血の気が引いた。
「な、なにを着たらいいですか!?ドレス!?着物!?スーツ!?」
「普段着で」
パニックになる私に、津ヶ谷さんは呆れた顔でため息をつく。