旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



「心配してくれてありがとうございます、母さん。でも、大丈夫です。彼女は、俺自身が選んだ人ですから」



テーブルの下、津ヶ谷さんの手はこちらへと伸ばされ、私の手をぎゅっと握った。

それはまるで、私への信頼を表すかのように。



「至らない点ばかりではありますが、彼女とふたりで支え合って生きていこうと思ってます。なので、なにかあったときはご指導よろしくお願いします」



そして深々と頭を下げた津ヶ谷さんに、続くように私も頭を下げた。



ふたりで、支え合って……。

そんな言葉、ご両親の前だから言っているただのセリフだとわかっている。

わかっていても、ときめいてしまうのはどうしてだろう。



力強く大きな手が、触れるから?

普段言われないような言葉を言ってくれているから?

わからない、けど。



「あぁ、もちろんだよ。ねぇ、母さん?」



津ヶ谷さんのお母さんは頷いてくれることはなかったけれど、反対しているというよりかは素直には頷けないといった様子に見える。

それを津ヶ谷さんのお父さんも察したのか、おかしそうに笑って「素直じゃないね」と付け足した。






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