今夜、色のない君と。
納得した返事が返ってきたけど、女のコはどこかショボンとして見える。
そのとき、女のコが一冊本を手に持っていたことに気づいた。
「それ、何の本?」
女のコに近づきながら話しかける。
「あ、これは……なんとなく、気になって…」
覗いてみると、女のコが持っていたのは、僕が買ったあの恋愛小説だった。
「ああ、この本ね。面白いよ。僕が知らなかったこといっぱい書いてあった」
「そうなんですか。……これ、題名が素敵ですよね」
「…そうかな?」
「はい。私、これ好きです」
そう言って、その本を楽しそうに眺めている。
眺めてるだけで楽しいのかな…。