溺甘系朧咲夜【完】


「せせせせせ、先生っ! 私で遊ばないでください!」


「咲桜を弄ぶ気なんて欠片もないけどな。どれも本気だ」


「むしろ性質悪いですっ! って、これって在義父さんにどう説明すればいい状況なんですかっ⁉」


今頃思い出したけど、在義父さんからの忠告がある。


彼氏が出来たら紹介しなさいって言われてるけど、先生は彼氏ではないらしいし……って、そもそも『先生』なんだから紹介の前に色々アウトでしょ⁉


「在義さんには俺から言って置く」


「でも、今先生は『先生』なんですからマズいじゃないですかっ」


「在義さんがそういうの気にすると思うか?」


「…………」


思わないです。


在義父さんは警察の人だけど、三十年来の親友をして、『正義がない、ただの義のヤツだ』と言われる人だ。


生徒と先生が付き合うことの禁断性、みたいな道徳っぽいこと、割とどうでもいい人。


そのくせ娘の彼氏は気にするのか。複雑だな、私が。


そして在義父さんのそういうところまで知っている先生。


先生と在義父さん、仲良しだから簡単に認められちゃいそうだなあ……。

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