溺甘系朧咲夜【完】


「でも、生徒の間で噂になってますよ。理事長の知り合いのお嬢様と、って……」


「あー。生徒の間で話飛んでるのか」


――否定、しなかった。


「ほんとう、なんですか?」


流夜くんは体勢を戻して、軽く腕を組んだ。


「話自体は本当だけど、当然断った」


「なんで……教えてくれなかったんです、か?」


最後の方、喉がつかえて言葉も詰まった。


流夜くんはじーっと見て来る。


なんで答えてくれな――


「説明するから、こっちおいで」


流夜くんは微笑んで、私に手を差し出して来た。


「――だからなんでこうなるんですかっ」


何故かまた、椅子に座った流夜くんの膝に乗せられた。


だからこれ恥ずかしいんだけど! 壁見るしか逃げ場ないし!


「こうしないと咲桜、逃げるかもしれないだろ?」


「う……」


「否定しないんならこのまま話すぞ? まず、見合いの話は本当。でも言われて即断った」


「……どうして、断ったんですか?」


「それを咲桜が言わせるか?」


そう返して来た流夜くんは、何故か愉快そうににやにしていた。

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