溺甘系朧咲夜【完】
「……どういう意味ですか」
「壁見て言わないで俺見て言いな?」
くそっ、せめてもの抵抗だったのに。
流夜くんに誘導されてのろのろと顔を向けると――にこっとした大すきな人の顔があって、頭が火を噴いた。
「面白いなあ、お前は」
反抗する力を失って、流夜くんのシャツにしがみついて顔を伏せる私の頭を、流夜くんがぐりぐり撫でまわす。
うう……なんというご褒美……。
「ま、咲桜がいるから断ったんだけどな」
思わずびくっと、自分の肩が大きく跳ねた。なんてことを言うんだ!
「……私のため、なんですか?」
せ、責任転嫁?
そろっと顔を離して見上げると、流夜くんはふっと口の端に笑みを刻んだ。
「咲桜以外と一緒になりたくない、っていう俺の願望のため」