甘くて、苦くて
その日の夜も、ラインをしていた。
【 宿題終わった!数学難しかったね笑 】
[ お疲れさま〜!ね!難しかった!]
ほんとは、モヤモヤしていた。
だから思わず、続けた。
[今日、女の子と一緒に帰ってるのみたよ!]
【 あー、女の子って雪かな?
幼馴染だし女だと思ってないわ笑 】
[ そうなんだ笑 ]
そんなことない。
村井君が女だと思ってなくても、
相手はわからない。
幼馴染で、サッカー部のマネージャーで、
村井君のすぐ近くにいる女の子が羨ましくて、
嫉妬した。ひとりで泣いた。
ずっとラインを続けていて、
この間は夜に電話もして、
文化祭の前の日に一緒に帰ることになって、
私は浮かれていた。
村井君も
私と同じ気持ちなんじゃないかって思っていた。
村井君の特別なんじゃないかって思っていた。
でも、違うのかもしれない。
村井君にとっては、普通なのかもしれない。
幼馴染でマネージャーの子と、
私と、他の女の子と、
みんな同じなのかもしれない。
それなら、どうかお願いだから
私の心をかき乱さないでほしい。
思わせぶりなことをしないでほしい。
他の子と一緒にしないでほしい。
いつだって私の中で男の子は村井君だけなのに。