甘くて、苦くて

その日の夜も、ラインをしていた。

【 宿題終わった!数学難しかったね笑 】

[ お疲れさま〜!ね!難しかった!]

ほんとは、モヤモヤしていた。

だから思わず、続けた。

[今日、女の子と一緒に帰ってるのみたよ!]

【 あー、女の子って雪かな?

幼馴染だし女だと思ってないわ笑 】

[ そうなんだ笑 ]

そんなことない。

村井君が女だと思ってなくても、

相手はわからない。

幼馴染で、サッカー部のマネージャーで、

村井君のすぐ近くにいる女の子が羨ましくて、

嫉妬した。ひとりで泣いた。

ずっとラインを続けていて、

この間は夜に電話もして、

文化祭の前の日に一緒に帰ることになって、

私は浮かれていた。

村井君も

私と同じ気持ちなんじゃないかって思っていた。

村井君の特別なんじゃないかって思っていた。

でも、違うのかもしれない。

村井君にとっては、普通なのかもしれない。

幼馴染でマネージャーの子と、

私と、他の女の子と、

みんな同じなのかもしれない。

それなら、どうかお願いだから

私の心をかき乱さないでほしい。

思わせぶりなことをしないでほしい。

他の子と一緒にしないでほしい。

いつだって私の中で男の子は村井君だけなのに。

< 8 / 20 >

この作品をシェア

pagetop