好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「どうだろな……」

「例えば、あたしとか?」

ぼんやり噴水を眺めていた俺は、隣にいる笹川に視線を向けた。

彼女はイタズラな瞳で俺を見上げていた。



「それ、マジで言ってる?」

「……冗談だよ」

笹川は、目を伏せてそう言った。



「あたし、弓槻さんが羨ましい……じゃ、ハガキよろしくね」

彼女はファイルを抱えて立ち上がり、歩いて行ってしまった。



さっきのは、何だったんだろう。

優等生の笹川が、こんな冗談を言うと思ってなかった。



一瞬真に受けた俺は、かなり動揺してしまった。

俺はベンチにもたれかかり、笹川から受け取ったハガキに書かれた文字に目を通した。
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