好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
大学からの帰り道、あいつの家によってハガキを置いてこようか迷ったが、俺はそのまま持って帰ってきてしまった。

笹川から受け取ったハガキを鞄に入れたまま、俺は机の引き出しを開けた。



これが届いたのは、もう四年も前のことだ。

俺は誕生日プレゼントのキーホルダーが送られてきた箱についていた伝票を、今でも引き出しの奥にしまっていた。



あいつの丸っこい手書きの文字で、寮の住所が書いてある。

俺は鞄からハガキを取り出して、その住所を書き写した。
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