好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
あいつに、ハガキは届いたのだろうか。

宛先不明で送り返されなかったところをみると、たぶん届いているのだと思う。



出欠の返信ハガキは笹川に届くようになっているが、あいつから返事はあったのだろうか。

大学でよく笹川と顔を合わせるが、彼女から何か言ってくることはなかった。



成人式の朝、田舎の街には雪がちらついていた。

この天気だと振袖を着る女子は大変だろう。



男の俺は袴を用意することもなく、大学の入学式用に買ったリクルートスーツに着替えた。

そんなに高いスーツでもないし、汚れたらクリーニングにだせばいいだけだが、すっきりと晴れ渡った天気でないのが少し残念だった。
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