好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
市内の小さなホールに着いた頃には、雪はやんでいた。
式典が始まる前の会場の外では、色とりどりの振袖を身に着けた女子たちがスマホで写真の撮り合いをしていた。
誰か知り合いがいないか見回すと、振袖姿の笹川が俺を見つけて手を振った。
赤やピンクなど可愛らしい振袖を選ぶ女子が多いなか、笹川は黒地に赤と白の椿が描かれた振袖を着ていた。
美しい黒が、彼女の大人っぽさを際立たせてよく似合っていた。
「蓮見君、一緒に写真撮らない?」
「俺は入んなくていいだろ……笹川だけ撮ってやるよ。
せっかく綺麗な振袖着てんだから」
「綺麗なのは、振袖だけ……?」
イタズラな目で俺を見上げた笹川に、俺は小声で付け加えた。
「……笹川もな」
式典が始まる前の会場の外では、色とりどりの振袖を身に着けた女子たちがスマホで写真の撮り合いをしていた。
誰か知り合いがいないか見回すと、振袖姿の笹川が俺を見つけて手を振った。
赤やピンクなど可愛らしい振袖を選ぶ女子が多いなか、笹川は黒地に赤と白の椿が描かれた振袖を着ていた。
美しい黒が、彼女の大人っぽさを際立たせてよく似合っていた。
「蓮見君、一緒に写真撮らない?」
「俺は入んなくていいだろ……笹川だけ撮ってやるよ。
せっかく綺麗な振袖着てんだから」
「綺麗なのは、振袖だけ……?」
イタズラな目で俺を見上げた笹川に、俺は小声で付け加えた。
「……笹川もな」