好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「なんか、無理矢理言わせた感じだけどね……」

笹川は笑ってスマホを取り出した。



「蓮見君も一緒に入ってよ。成人式だし」

「……わかった」

笹川は自分の手を伸ばしてこっちに向けたスマホのカメラを見上げて、大人っぽく微笑む。

その隣で俺はピースしようか迷ったが、笹川の上品な雰囲気を壊さないように姿勢を正して立っていた。



「見て!ほのかが来てる」

「マジで……?snow mistのほのかじゃん」

女子の声に振り返る。

振袖を着たあいつが、元クラスメイトの呼びかけに微笑みながら歩いていた。
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