好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「弓槻さん、久しぶり!あたしのこと覚えてる?」

「学級委員の笹川さんだよね」

「うん、弓槻さんめっちゃ綺麗になったね。
一緒に写真撮ってもらっていい?」

あいつはうなずいて、少しは離れた所に立っている俺に視線を向けた。



「蓮見君、全身映るようにね」

あいつは何も言わなかった。

俺と目が合うと、あいつは目を伏せてしまった。



「わかった……はい、チーズ」

俺は、スマホを縦に構えてボタンを押した。

あいつは笑わなかった。

何か言いたそうな目をカメラに向けていた。
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