好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「ありがとう……上手く撮れてるじゃん」

笹川は写真を確認してから、スマホを受け取った。



「蓮見君も撮ってあげようか?」

「俺はいいよ……」

笹川にだけ聞こえるように小さな声で答えた。



「そっか……残念。
弓槻さん、また今度同窓会にも出席してね」

笹川はあいつに手を振り、会場に吸い込まれていった。

気づけば、もう全員会場に入ってしまっている。

俺とあいつだけが、会場の外に取り残されていた。



「蒼……」

あいつに名前を呼ばれるのは何年ぶりだろう。

俺は、か細く呼ぶ声に振り返った。
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