好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「すみません、もう式典始まりますのでお入りください」

スーツを着たスタッフが、まだ外にいる俺たちに声をかけた。



「すみません……今行きます」

俺たちは並んで会場の入り口へと歩きだす。



「ねぇ、蒼……」

振袖を着たあいつは、ゆっくり俺の隣を歩いていた。

雪がうっすら積もっている階段を上る時、手を貸そうか迷ったが、そんなキザなことはできなかった。



「あたしね、snow mist卒業する……」

驚いて振り向いた俺に、あいつは伏し目がちな微笑みを残して会場に入っていった。
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