好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「何緊張してんだよ……」

あまりの緊張ぶりに、俺は思わず笑ってしまった。

そんな俺に、ほのかも目を伏せて控えめに微笑む。

『東京で上手くやってるのか』

ほのかにそう聞こうとしたが、後ろで待機していた剥がしのスタッフが俺の肩をつかんで隣のメンバーの前に移動させた。



隣の子も、ほのかに負けず劣らず可愛い子だった。

長い黒髪で大きなタレ目の彼女に微笑まれて一瞬クラっときたが、俺はほのか以外に浮気はしない。



「お知り合いなんですか……?」

俺の手を両手で握りしめて、可愛い声で聞かれてしまった。

焦った俺は、慌てて話題を変える。

「名前……なんて言うの?」
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