好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「もしもし、蒼……?」

意外とすぐに、電話はつながった。

自分からかけたはずなのに、本当にあいつの声が聞こえてきて俺は焦ってしまった。



「ほのか……」

「どうしたの、急に……」

「ほのかに伝えたいことがあって……」

「……何?」

あいつの声は、昔と変わらない。
あいつは今、どんな顔で話しているのだろう。



「高校合格した……第一志望のN高」

「そっか……」

それまで明るかったあいつの声のトーンが少し下がる。

N高校は、あいつの志望校でもあった。
俺はマズいことを言ってしまったのだろうか。
< 53 / 210 >

この作品をシェア

pagetop