好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「いつ帰ってくるの?」

「来週の火曜かな……
その日しか休みないんだけど、蒼大丈夫?」

「俺は何も予定ねぇよ。ぶっちゃけ暇人だし」

「そんなことないでしょ」

ほのかは笑ったが、俺は本当に予定がなかった。

もう受験も終わったし、特にすることもなかった。

仮に予定が入ってたとしても、ほのかのためならなんとしても時間を作るだろう。



「何時の新幹線かわかったら教えて……駅まで迎えに行くから」

「ありがとう……優しいね、蒼は」

ほのかにそう言われて、俺は舞い上がりそうだった。



「あたし、楽しみにしてるね」

俺もほのかに会えるのは楽しみで仕方なかったが、「じゃ、またな」とそっけなく電話を終わらせてしまった。
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