好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「ごめんね、蒼……」

ほのかは、俺を残して走り去っていった。



もう昔のように、ほのかと並んで歩くことはできないのだろうか。

ほのかに何か買ってやろうと、オーディションの賞金10万円の残りを封筒ごと持ってきたが、食事すらおごってやれなかった。



俺は堂々と手をつないで歩く高校生のカップルを横目に、ショッピングモールを一人で歩いていた。

ピンクの可愛らしいウサギのキャラクターグッズが積まれたコーナーが、ふと目に入った。

ほのかは小学生の頃、このキャラクターのグッズを集めていて、『お誕生会のプレゼント何がいい?』と聞いた時も『このキャラのグッズが欲しい』と言っていた。



あいつは、今もこのキャラクターグッズを集めているのだろうか。

俺はふわふわしたウサギが銀色のチェーンにつるされたキーホルダーを手に取った。
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