好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
俺のスマホに、ほのかからメッセージが届いた。

『さっきはごめん。次の新幹線で東京に帰る。また今度ゆっくり話そうね』

あいつは、今駅にいるのか。

次の新幹線は何時発だろう。



ここから駅まで徒歩5分ぐらいだ。

今から走れば間に合うか。

俺はこのウサギのキーホルダーを握って、レジへ向かった。



「ラッピングしますか?」

男の俺が、明らかに女向けの商品を買ったからプレゼントだと気づいたのだろうか。

察しがいい店員だと思ったが、もう時間がなかった。



「いいです……値札だけ外してください」

俺は店員からウサギが入った袋を受け取ると、駅へ走った。
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