エリート副操縦士と愛され独占契約
そのまま引っ張られ、彼の背後に回る格好になる。


水無瀬君の広い背中にかばってもらっているのを感じて、私はドキッと胸を弾ませた。
彼の後ろから、そっと窺うように顔を覗かせる。
塩野君は忌々し気に顔を歪めて、もう一度舌打ちを繰り返した。


「はいはい。天下の副操縦士さんにそう言われちゃ、一般社員の俺には太刀打ちできませんよ」


どこまでも皮肉っぽい言い方をしながらも、塩野君は私たちに踵を返した。
そのまま、ノシノシと大きな歩幅で去っていく。


彼の背中からは、隠し切れない苛立ちが漂っている。
それでも私は、塩野君が大人しく立ち去ってくれたことに、ホッと胸を撫で下ろした。


「あの、ごめんなさい、水無瀬君。ありがとう」


私がそう声をかけると、彼はわずかに渋い顔で、私を肩越しに見下ろした。


「……塩野と付き合ってたって噂。本当だったんだ」


直球で言われて、一瞬ギクッとした。
でも、塩野君とのやり取りを見られてしまった状況では、誤魔化す術もない。


「あ~……うん。半年前までね」


頬骨の辺りがヒクヒクするのを感じながら、私は彼の視線から逃げるように顔を背ける。
< 12 / 21 >

この作品をシェア

pagetop