エリート副操縦士と愛され独占契約
この話題にはこれ以上ツッコまずに、『まあいいや。行こう』と言ってくれるのを期待していた。
なのに。


「どこまでも男を見る目がないっていう噂も、本当?」


続く言葉にはギョッとして、私は彼を振り仰いだ。
水無瀬君は、まるで苦虫を噛み潰したような顔をして、私に身体ごと正面から向き合う。


「そ、そんな噂、どこから……!」

「俺が聞いたところによると、相当酷いらしいな。浮気性にDV野郎。ヒモ男には、別れた後もストーカー被害に悩まされたとか」

「っ」


噂の出どころなんて聞かなくてもわかる。
同期だし、共通の友人もいる。
きっと情報源は、彼と一緒に乗務する機会も多いCAの同期、今野瞳(こんのひとみ)だろう。


「あ~……いや……」


反論の余地もない。
明後日の方向に視線を漂わせ、声を尻すぼみにする私に、水無瀬君は無言で深い溜め息をついた。
けれど。


「……まあいい。とにかく行こう、望月」


水無瀬君は私を促して、さっさと先を歩き始める。
私もすぐに気を取り直して、


「う、うん」


短い返事をして、彼の後を追った。
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