エリート副操縦士と愛され独占契約
水無瀬君は普段は車両通勤だけど、今日は車を駐車場に残し、私と一緒に空港から電車で移動した。
空港からは水無瀬君の家の方が近いから、彼の最寄り駅で途中下車して、駅ビルの中の焼鳥屋に入った。
金曜日のわりに、待つことなく、二人用の半個室席に落ち着くことができた。
まずは、ファーストドリンクのビールで乾杯する。


お互い二口ゴクゴクと飲んでから、水無瀬君が向かい側で、「はあっ」と声に出して息を吐いた。
テーブルに頬杖をつき、やけにじっとりした視線を向けてくる。
おかげで、その深い吐息も私に発したものだとわかる。


誘ってくれた時はにこやかだったから、そんな目で見られる理由は、その後、途中にしたままの会話のせいだろう。
自ら蒸し返すのもどうかと思うけど、せっかく久しぶりに一緒に飲んでいるのに、こんな空気のままじゃもったいない。


「な、なんか、怒ってる?」


恐る恐る訊ねると、水無瀬君は「別に」と私からふいっと目を逸らしてしまう。


「けど、まあ、呆れてる」


容赦なく言い切られて、私は「うっ」と口ごもった。


「望月、仕事できるし美人でイイ女なのに。いつも変な男に引っかかってんなーって思ってた。今野から、本人に見る目がないんだって聞いても、半信半疑だったんだけど」


しれっと「美人」なんて言われて、思わずビールを吹き出しそうになった。
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