エリート副操縦士と愛され独占契約
待っている間、私は空港内の化粧室でメイクを直した。
まっすぐ帰るだけなら直す必要もないけれど、人と出かける以上、やっぱりそこは気にしたい。


鏡に映る私の髪は、肩甲骨の辺りまで伸びている。
猫っ毛で、なにもしなくても緩く波打つ髪は、梅雨時、湿気が多いと纏まらなくて大変だけど、十月のこの時期はいくらか素直でセットもしやすい。


目尻がやや下がり気味なのを、自分でも少し気にしている。
それでも、それが『優しい』という印象を与えるようだから、決定的なウィークポイントとは思っていない。
某人気アイドルに似ていると、結構何度も言われたりするし、そこそこ見られる顔立ち、というのが自己評価。


服装も……一応最新の流行にはアンテナを張って、オフィスカジュアルに取り入れている。
ガチガチにスーツで決めてるわけじゃないから、制服勤務が故、通勤着はわりとラフな水無瀬君と一緒でも、ちぐはぐにならずに済むだろう。


ちょっとベージュ寄りの桜色のリップスティックで仕上げて、私は化粧室から出た。
水無瀬君はLINEしてくれると言っていたから、オフィスビル近くで留まっている必要はない。
さあ、どこで時間を潰そうか……と、特に考えもなく通路を右に折れた時。
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