エリート副操縦士と愛され独占契約
「あ。……理華」
伏せていた目線の先に、革靴の爪先が映り込む。
頭上から降ってきた声を聞いて、私は反射的に足を止めていた。
「っ……。お、お疲れ様、塩野(しおの)君」
私の前に立っていたのは、営業部所属で、私と同期の塩野武志(たけし)だった。
彼は、挨拶を返した私を、頭のてっぺんから靴の爪先まで一筆でなぞるように見下ろして、「ふん」と鼻を鳴らす。
「随分とめかし込んでるな。なに? デート?」
顎を撫でながら探るように眉間に皺を刻む彼に、私は頬が引きつるのを必死に堪えた。
「違うよ」
「どうだか。俺と別れて半年。もう時効だと思って、男漁り始めてるんだろ?」
わかりやすく刺々しい言葉で、攻撃的な態度を憚らない彼に、私もさすがに怯む。
黙る私を見て勢いづいた様子で、彼は胸の前で腕組みをして、これ見よがしな溜め息をついた。
「こっちは、まだ傷が癒えないっていうのに。いいご身分だな」
敢えて言葉を返さない方がいいと判断して、私は黙って目を伏せた。
塩野君の言う通り。
私は半年前まで、彼と付き合っていた。
二十八歳……アラサーともいわれる年齢。
一年半の付き合いを経て、結婚の話も出始めていたのに、私から別れを告げた。
伏せていた目線の先に、革靴の爪先が映り込む。
頭上から降ってきた声を聞いて、私は反射的に足を止めていた。
「っ……。お、お疲れ様、塩野(しおの)君」
私の前に立っていたのは、営業部所属で、私と同期の塩野武志(たけし)だった。
彼は、挨拶を返した私を、頭のてっぺんから靴の爪先まで一筆でなぞるように見下ろして、「ふん」と鼻を鳴らす。
「随分とめかし込んでるな。なに? デート?」
顎を撫でながら探るように眉間に皺を刻む彼に、私は頬が引きつるのを必死に堪えた。
「違うよ」
「どうだか。俺と別れて半年。もう時効だと思って、男漁り始めてるんだろ?」
わかりやすく刺々しい言葉で、攻撃的な態度を憚らない彼に、私もさすがに怯む。
黙る私を見て勢いづいた様子で、彼は胸の前で腕組みをして、これ見よがしな溜め息をついた。
「こっちは、まだ傷が癒えないっていうのに。いいご身分だな」
敢えて言葉を返さない方がいいと判断して、私は黙って目を伏せた。
塩野君の言う通り。
私は半年前まで、彼と付き合っていた。
二十八歳……アラサーともいわれる年齢。
一年半の付き合いを経て、結婚の話も出始めていたのに、私から別れを告げた。