想いの行方
職員室に戻り、しばらくすると、

「こんにちは」って、大きな声で斉藤先生が入って来た。

あ、来た!と思いふりかえると、職員室にいた先生たちが斉藤先生の周りに集まっていた。

久しぶりだなぁ。

懐かしいよ。

また、デカくなったなぁ。

おまえが教師になるとはなぁ。

楽しみにしてるよ

これから、よろしくな。

なんて、話で盛り上がってた。

みんな、懐かしい顔を見て、同僚として働くことを喜んでいる。

教えていた生徒が教師になる事はあっても、母校に勤務することは珍しいって話していた。

指導教諭は? の声に、笠木先生です。と答えたから、みんなが私を見た。

「笠木先生、よろしくお願いします」って頭を下げるから、私も「こちらこそよろしくお願いします」と頭を下げた。「本当、先生って変わってないねー」って言うから、周りの先生達も笑っていた。


職員室を後にして、とりあえずは校内を案内する。多分、あんまり変わってないと思うんだけど、教師しか入らない場所もある。

春休みの午後。爽やかな風を感じ、柔らかな日差しが暖かい。遠くから聞こえてくる生徒たちの笑い声が心地よかった。
隣を歩く斉藤先生は、背が高くて、大人っぽくなっていたけど、校舎を歩きながら懐かしいなぁって笑う顔には、あの頃の面影があり、斉藤くんなんだなぁと改めて思い、年月が経つ早さを感じた。
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