死にたい君に夏の春を
なぜ私は拳銃の存在を知っていたんだろうって、疑問に思っていた。


だけど、見ていたんだ。


お父さんが、拳銃を棚の一番奥に隠しているところを。


ただ純粋にその事をお母さんに言ったら、家から出て行くことになった。


なんでこんな大切なことを、今まで忘れていたのだろう。


あの頃、2人が離婚したのは私のせいだと微塵も思っていなかった。


私のせいで、家族は分裂したのに。


私のせいで、お父さんは変わっちゃったのに。


こんな私じゃ、お父さんに殺されても仕方が無いんだ。


だんだん、光が消えていく。


当てにするものがなくなって、ただこの暗闇を彷徨う。


寒い、暗い、寂しい、痛い。


頭がガンガンと鳴っている。


その痛みは少しずつ強くなり、体を熱くしていく。


そして私は、夢から目を覚ました。
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