死にたい君に夏の春を
鍵に書いてある番号を探し出し、そのロッカーを開ける。
そこには老人のものであろう、小さなショルダーバッグ。
開けてみると、中にはいかにも高そうな皮の財布があった。
きっと大収穫だ。
九条は僕の行動に、なんて言うだろうか。
そう思いながら、誰にもバレないようになるべく自然な動作で財布だけを抜き取った。
「あ!このガキ!」
突然大声が聞こえる。
仮眠室から老人が叫ぶ。
一斉に脱衣所の人達が僕の方を見る。
バレた。
だめだ、早く逃げなければ。
そう考える前に、勝手に僕の足は走り出していた。
困惑しながらも状況を理解した番台が、僕に掴みかかってくる。
僕は即座にその手を振り払い、外に出た。
「あ、高階くん」
運がいいことに、既に九条は出ていた。
「逃げろ!」
僕は走る。
「……。うん……!」
追いかける番台から、僕らは無我夢中で逃げた。
そこには老人のものであろう、小さなショルダーバッグ。
開けてみると、中にはいかにも高そうな皮の財布があった。
きっと大収穫だ。
九条は僕の行動に、なんて言うだろうか。
そう思いながら、誰にもバレないようになるべく自然な動作で財布だけを抜き取った。
「あ!このガキ!」
突然大声が聞こえる。
仮眠室から老人が叫ぶ。
一斉に脱衣所の人達が僕の方を見る。
バレた。
だめだ、早く逃げなければ。
そう考える前に、勝手に僕の足は走り出していた。
困惑しながらも状況を理解した番台が、僕に掴みかかってくる。
僕は即座にその手を振り払い、外に出た。
「あ、高階くん」
運がいいことに、既に九条は出ていた。
「逃げろ!」
僕は走る。
「……。うん……!」
追いかける番台から、僕らは無我夢中で逃げた。