死にたい君に夏の春を
次の日。
いつもは意味もなく早起きするのだが、今日は少し遅めに起きることになった。
父も既に仕事へ行っていて、気づけば昼の13時。
昨日は慣れない全力疾走をしたから、体が疲れていたのだろう。
財布を盗んだあの後、僕達はまた廃墟のビルに帰っていった。
僕は今後の青春について話し合おうと思ったが、九条が「眠いから寝る」と言ったので、仕方なく別れることになった。
どこまで自由な奴なんだと思った。
しかしまぁ、きっと父親からの重荷が一気に取り除かれて、あんな自由すぎる性格になったのだろう。
そう考えれば、今までの彼女の行動も頷ける。
鳥籠から出た小鳥のように飛んでいる姿は、見ていて僕も飽きないけれど。
そんなことを思いながら、服を着替えたり、出かける準備をする。
家を出る前にパンを1、2個食べて、簡単に食事を済ませた。
そして昨日と同じように、あの廃墟に向かうのであった。