死にたい君に夏の春を
「ていうか、お前中学3年生だろ。なんで小学3年生のドリルなんだ?」


「やっぱ青春と言ったら勉強かなって……。でも中学の授業全然ついて行けないから、丁度いいのを本屋で探してたら、ギリギリできそうなのが小学3年生だった……」


いや、ドリルの中身を見る限り、小学3年生の計算すらできてないじゃないか。


しかも割り算で躓いてるって、かなり学力的に終わってる。


これは流石に見てられないな……。


僕はボロいパイプ椅子を持ってきて、九条の向かい側に座った。


「……で、どこができないの?」


そして彼女は顔を上げて僕の方を見る。


「え?」


「このくらい教えてあげるって」


「……高階くん頭良かったの?」


なんだその、まるで僕が頭悪いように見えてたみたいな言い方は。


割り算ぐらい普通の人ならできるぞ。


「言っとくけど、定期テストはいつも学年1位だからな」


我ながら少し自慢げに言う。


いつも暇な僕にとっては、勉強ぐらいしかやることがない。


それに1度覚えたことはそう簡単に忘れないから、勉強は得意な方だ。


「おお……。定期テスト受けたことないからわかんないけど、凄そう」


「…………」


受けたことすらないのかよ。
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