死にたい君に夏の春を
重くなった空気を戻すために、僕はある事を思いついた。


「あのさ、今日学校行かない?」


「……学校?」


「夜、忍び込むんだ。みんながやらないようなこと、やろうよ」


どうせなら、怒られてもいいから、特別なことをしたい。


もうどうなってもいいくらい、全力で短い人生を楽しませたい。


彼女に、青春をさせたいから。


そう約束したから。


「……うん。いいね、夜の学校。楽しそう」


また元の目に戻った。


笑ってこそいないけれど、嬉しそうな表情。


その顔を見て、僕は心底安心した。
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