死にたい君に夏の春を
「ところで、学校に行ってなにするの?」


彼女が聞いてきた。


「誰かさんは肝試しのために行くつもりだったらしいけど、九条はそういうの大丈夫だろ?」


「おばけとか?私は全然信じてない」


だろうな。


「学校ってつまらない場所でしかなかったから。1度くらいはっちゃけたいって思ってさ」


「高階くんもそんなこと思うんだね」


織部に肝試しを誘われた頃、僕はただの意気地無しだった。


度胸もなく、様々な事から逃げていたのだ。


でもこの数日で、僕は彼女から勇気を得た。


「変わったんだよ」


「なにが?」


「……九条のおかげで、僕は変われた」


ボソッと、彼女に聞こえないくらいの小さい声でそう言った。
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