死にたい君に夏の春を
「これ」
それは文庫本のサイズで、青いシンプルな表紙に白字で『最高の人生の過ごし方』というタイトルが書いてあった。
作者名は、三町 庵(みまち いおり)。
あまり聞いたことがない人だ。
「補習の時に見つけたの」
開いて少し読んでみると、どうやら高校生の不良少女とヤクザが駆け落ちする恋愛小説らしい。
女性の視点で描かれていて、前半には人生について語っている。
最後は主人公が1人になってしまって、バッドエンドだ。
ちらりと見ただけだが、あまり面白そうではない。
内容はまるで違うけれど、題名もどこかの映画を文字っただけらしい。
「これいつ読んだの?」
「授業中」
しっかり真面目に補習に行ってると思ったら、本を読んでただけなんかい。
「本を読もうとするなんて意外だな」
「たまたまね、似てたから」
似てた?
この題名がある映画に似てたからなのだろうか。
「まぁ、半分も読んでないけど」
あれだけこの本について喋っていたのに、全部読んでなかったのかよ。
だが読んですぐ感化されるのは、九条のいい所なのだろう。
素直、と言うべきか。
「はぁ。やっぱりそういうところが……」
「?なにが?」
「いや、なにも」
彼女は素直で、純粋で、人を恨めなくて、地頭が良くて、こんな僕にも気を使える、優しい女の子だ。
だからこそ、今まで誰かに助けを求めることなんてできなかった。
だがあの時、僕にだけ助けを求めたんだ。
そして僕もまた、彼女に救われた。
偶然なのか必然なのか。
境遇の似ている僕達が出会ったのは、神様の気まぐれのせいなのか。
神様なんて、1度も信じたことがないけれど。
でも確かに、この出会いは僕らの人生そのものを変えているに違いない。
彼女のためにも、そう信じたい。
悲惨な彼女の人生を、変えられていると信じたい。
それは文庫本のサイズで、青いシンプルな表紙に白字で『最高の人生の過ごし方』というタイトルが書いてあった。
作者名は、三町 庵(みまち いおり)。
あまり聞いたことがない人だ。
「補習の時に見つけたの」
開いて少し読んでみると、どうやら高校生の不良少女とヤクザが駆け落ちする恋愛小説らしい。
女性の視点で描かれていて、前半には人生について語っている。
最後は主人公が1人になってしまって、バッドエンドだ。
ちらりと見ただけだが、あまり面白そうではない。
内容はまるで違うけれど、題名もどこかの映画を文字っただけらしい。
「これいつ読んだの?」
「授業中」
しっかり真面目に補習に行ってると思ったら、本を読んでただけなんかい。
「本を読もうとするなんて意外だな」
「たまたまね、似てたから」
似てた?
この題名がある映画に似てたからなのだろうか。
「まぁ、半分も読んでないけど」
あれだけこの本について喋っていたのに、全部読んでなかったのかよ。
だが読んですぐ感化されるのは、九条のいい所なのだろう。
素直、と言うべきか。
「はぁ。やっぱりそういうところが……」
「?なにが?」
「いや、なにも」
彼女は素直で、純粋で、人を恨めなくて、地頭が良くて、こんな僕にも気を使える、優しい女の子だ。
だからこそ、今まで誰かに助けを求めることなんてできなかった。
だがあの時、僕にだけ助けを求めたんだ。
そして僕もまた、彼女に救われた。
偶然なのか必然なのか。
境遇の似ている僕達が出会ったのは、神様の気まぐれのせいなのか。
神様なんて、1度も信じたことがないけれど。
でも確かに、この出会いは僕らの人生そのものを変えているに違いない。
彼女のためにも、そう信じたい。
悲惨な彼女の人生を、変えられていると信じたい。