死にたい君に夏の春を
そんなことを思っていると、突然、廊下の方から足音が聞こえた。


コツ、コツ、とゆっくり音を響かせて。


「やばい、人が来る……!」


そう言って、僕らはすぐに一番奥の机の下に隠れた。


黒板や机は落書きをしたままで、まだ残っている。


隣の机に潜んでる九条が、しーっ、と人差し指を立てる。


ただ足音だけが聞こえる空間。


九条と出会ったあの夜や、財布を盗んだ時とは比にならないくらいの心臓の高鳴り。


今度こそ、バレるかもしれない。


しかも自分の通う学校という場で。


こんな状況になっても、彼女は平然とした顔をしている。


その足音はどんどん近づいてきて、ついにはこの教室の前で止まった。


「おーい、誰かいるのかー?」


さっきまでの会話や大きな音でバレてしまったのだろうか。


警備員は教室の扉を開けた。
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