死にたい君に夏の春を
どれくらい走ったのだろうか。
街灯の少ないこの道では、現在位置がわからない。
けれど、流石に警備員はここまで追ってくることはないだろう。
そうして安心したら、さっきまで忘れていた疲れがどっとのしかかってきた。
ここ最近よく走るから慣れてきた頃だと思っていたが、そうでもないらしい。
いつも通り、体力のない僕のままだ。
「少し、休んでいいかな……」
僕は電柱にもたれかかりながら、へたり込むようにアスファルトの地面に座った。
「大丈夫?」
九条は荒い吐息をもらしながら、疲れ切った僕の顔をのぞき込む。
「大丈夫……じゃないかな」
「だよね」
僕は疲れで、強がることすらできない状況。
少し呼吸を整えて、落ち着きを取り戻しながら周囲を見た。
どうやら既にビルにまで来ていたようだ。
無意識に走っていたから気づかなかった。