死にたい君に夏の春を


結局、推しの強い九条に負けて一緒の部屋で寝ることになった。


しかし、距離が近いと僕が絶対寝れなくなるから、1メートルほど離れることで妥協した。


「おやすみなさい」


そう言って彼女はそれ以上の言葉は発せず、すぐにダンボールとバスタオルだけの簡素な寝床に寝入った。


こんなに意識しているのは僕だけなのだろうか。


でも仕方ない。


誰だって少しぐらい意識するだろ。


おかしいのは九条の方なんだ。


そう思うことにして、頑張って寝ようとする。



だがしかし、目を瞑っても全く眠気が起きない。


疲れているはずなのに、寝ようとすればするほど目が覚めてくる。


足の痛みはまだ引かないし、硬いだけのベッドは体中を圧迫する。


寝床が違うだけでこんなにも寝れなくなるとは思わなかった。


ただ何も無い時間が過ぎていく。
< 85 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop