死にたい君に夏の春を
氷と言っても、コンビニで買ったとしたら帰る頃には溶けてしまう。
家のクーラーボックスに氷をつめた方がよさそうだ。
扇風機があるとはいえ、室内は蒸し暑い。
あんな熱が出ていれば悪化するに違いない。
病院に行くという考えは最初からなかった。
どうせ九条が親に連絡がいくことを恐れて嫌がるからだ。
かと言って、看病のために僕の家に連れていくことなんてできない。
僕は人1人抱えて連れていくだけの体力を持っていない。
なるべく病院に行かないよう、治すべきである。
あの感じから見るに、ストレスで熱を出したのだろう。
いつ殺されるかわからない恐怖を、味わい続ける九条の辛さは計り知れない。
彼女のために急いで走ろうとするが、捻挫の痛みが邪魔をして早歩きぐらいしかできない。
ビルから家まではおよそ10分。
出せる限りの力を振り絞り、ボロアパートまで急いでいく。